オーダーメード、男性にも人気のマリッジリング、チタンリング、プラチナアクセサリーにまつわるコラム

木目金(杢目金)の指輪

多層鍛金(木目金)の技法

杢目金(もくめがね)に見られるような木目の紋様が現れる多層鍛金(たんきん)の元祖は装飾に応用されるよりはるか昔紀元前のインドの鉄に発祥のルーツがあります。現代の日本国内でも伝統技術として昇華した壷や茶具などの宝物に応用された鑑賞用の木目金が知られていますが、古くは正倉院の日本刀にも見られる積層した鉄の技術に祖形があります。
この、違う金属を複数重ね、多層構造にして、単体以上の特性を発揮させる鍛造の技術である積層鋼というのは、正倉院よりずっとずっとむかし、モーゼの古代インドにさかのぼります。種類の違う鋼(はがね)を幾重にも鍛練すると、金属の組織が均一化され不純物が減少することによって、非常に精度の高い地金が出来ることから、現代でも刃物用材料において粉末冶金法にならび最高峰とされている技法です。

江戸時代から刀職人により多層金属の鍛造について研究されており、日本刀の鍛練などで同様の製法を見ることが出来ます。これが、木目金の前身で、複数の鋼を重ねて鍛錬し刀身を作る際、表面に特殊な加工を施しました。それにより面白い紋様を生み出しました。
日本刀の地鉄肌に大杢目、 中杢目、 小杢目、 板目という呼び方もあります。
板目は地金の表面に鏨(たがね)でラインを彫り打ち延べて現れる模様です。
杢目(木目)は鏨(たがね)で穴を彫り打つ方法、このほか、丸たがねで削って打つと小杢目や綾杉の模様を出現させるなどの技術があります。
日本刀の切れ味も世界的に高く評価されていることは周知のとおりですし、刀匠が行ったこれらの技法にならった金工芸における木目金(もくめがね=わかしもくめとも言います)も世界に誇る装飾技術です。

江戸時代中期以後、平和になり、samuraiの刀は、武士のアクセサリーの一具となりました。その結果刀職人は競って華美な装剣技術を競ったため、加飾の金工技術が発達したという背景があります。

クローズな日本においては、秘伝とされますが、海外においては、Mokume Ganeの名で、結婚指輪にも積極的に応用され技術本もオープンに出版され世界にも広まっています。

木目金(杢目金)の指輪

チタンリングにシルバーと正面のパーツに木目のような紋様のオーステナイトの木目金を応用した指輪
杢目金(木目金)
指輪の素材:シルバー950、純チタン,サージカルステンレス316Lほか


 

木目金

 
鑠木目=わかしもくめ

異種金属プレートをサンドイッチ状に火中で融着(わかしづけ、*鑠接とも言います)し、彫りを入れて打ち延ばし、日本刀のような紋様や木目パターンを作り出す、まるで絵画表現を金工に取り入れた技法のことです。
*鑠(シャク)または爍(シャク)とも書きます。
鍛金家が、もともとは、うるし塗り職人のやっていた堆朱(ついしゅ)の技法を金工に取り入れ応用した技法。

堆朱(ついしゅ)とは
違うカラーのうるしの数十回以上塗り重ねて層を作り、その地層のような断面を見せたり、上から紋様を浮き彫りする漆工の技法で、伝播元は中国(唐)。

木目金への応用は漆の色の替わりに、ゴールド、シルバー、*鳥金(しゃくどう)、銅、*四分一(しぶいち)など、色調が異なる金属プレートを融点ぎりぎり手前で圧着したあと、鏨(たがね)ややすり、現代ではドリルなどで彫り、それをたたいて延ばし、地金の表面にモアレのようなマーブルのような、墨流し絵画のような複雑な色模様を出現させ装飾的に利用します。それぞれ融点の異なる金属らを、ロウ材無しにわかしづけ(鑠接)するところが、特殊技術です。
*鳥金とは
鳥金または赤銅(しゃくどう)とも呼ばれるゴールドの数%混ざった銅のこと。
*四分一とは
朧銀(おぼろぎん)とも呼ばれ、75銅対25銀、25%銀の入った銅のこと。
黄銅とは
銅と亜鉛の混ざった真鍮と同じ。